2017/11/20(月) 午前 9:02にTs.Maker氏のブログのコメントに次のコメントが書かれていた。Ts.Maker氏自身のコメントである。

    「memo chrM 12,188」

    「chrM」とはミトコンドリアのDNAを指し、何かを見つけたのでその地番を12,188とメモ書きしたということであろう。

    体細胞は核DNAの他にミトコンドリアに独自のDNA(mtDNA)を持つ。このmtDNAは必ず母親から子に受け継がれ、父親から受け継がれることはない。したがってmtDNAを調べれば、母親、母親の母親、さらに母の母の母と女系を遡ることができる。またmtDNAは組換えが起こらないので、mtDNAに違いがあるとすればそれは突然変異によるということになる。

    私はFLS3がクローンマウスの仔から作られていると考えていたので、FLS3がクローンならミトコンドリアは移植先のmtDNA(おそらくICRマウス)になり、ミトコンドリアを調べれば129B6F1の母親側の129マウスとは違う塩基(SNP)が見つかるだろうと思っていた。そこで、このコメントを見て、すぐFLS3のミトコンドリアを見にいった。

    IGVで見ると①のようになっていた。これは予想外であった。①のFLS3に塩基AとTが半々ずつ出ていたからである。mtDNAは母親のDNAしか持っていないので、1塩基中に2種類出るとは思っていなかったのである。

    FLS3-12188.png

    しかし、文献「体細胞クローン金華豚、およびその後代産子におけるドナー体細胞由来mtDNAの伝達性」を見ると、次の記述があり、体細胞クローンではドナーとレシピエントのmtDNAが混在すると書かれていた。

    体細胞クローンウシでドナー由来のmtDNAが検出されて(Hiendlederら1999;Steinbornら2000)以来、体細胞クローン動物に関しては、伝達割合に差はあるものの、クローン個体内でドナーとレシピエント双方由来のmtDNAが混在する状態(ヘテロプラズミー)と考えられつつある(Takedaら」2000;Inoueら2004)

    AとTが両方でるのは、FLS3が体細胞クローンで12,188番のTの塩基はドナーの129B6F1の129系塩基T(②)に、レシピエントのmtDNA(おそらくICRマウスで塩基はA)が混在しているからだと思われる。

    調査委員会はFLS3はFES1由来で、FES1は129×B6の受精卵ES細胞ということであった。それなら、mtDNAの12,188は②のように塩基Tで灰色表示されるはずである。作製者の太田氏は作成後、研究には使わなかったというので、突然変異が半分まで蓄積するはずもない。FLS3が受精卵ES細胞でないのは明らかだ。

    もし、FES1のミトコンドリアもFLS3と同じなら、桂調査委員会が調べたFES1は太田氏の作成した受精卵ES細胞ではなく、すり替えられ太田氏作製のFES1として調査委員会に提出されていたことになる。逆に、FES1がFLS3と違うなら、それはそれで、FLS3はFES1由来とは言えないことになる。

    いずれにしてもこのミトコンドリアの一塩基で桂調査委員会は詰んでいるのである。



    2017.11.21 Tue l STAP細胞事件 l コメント (0) トラックバック (0) l top
    3番染色体と8番染色体にそれぞれ欠失があるとされた範囲のFLS3とFI幹細胞(Chip-seq input)をIGVでみると以下のようになる。

    3番染色体の欠失の部分は、

    B6欠失

    であり、FLS3は欠失部分のリード数がガタンと落ちていることが分かる。本来の2本鎖が1本しか検出されていないからということになる。FI幹細胞の方はChip-seq inputなので、もともとリード数が少なく、何となく少ないかなという感じである。

    一方、8番染色体の方も、

    129欠失部分

    で、同じような傾向がみえる。FI幹細胞の方は3番染色体に比べ、少ないのが分かりやすい。

    ここで、この2つの欠失部分で129CAG-GFPマウスの特徴的な塩基をピックアップしてFLS3とFI幹細胞と対比したのが次の図である。

    129塩基1

    3番染色体の欠失部分にある129CAG-GFPマウスの特徴的な箇所(リファレンスの塩基G(黄土色)がAに置き換わって緑色で表示されている箇所)のFLS3とFI幹細胞をみると同じ緑で129の特徴がそのまま反映されている。これは、B6系が欠失だということと辻褄が合う。

    一方、8番染色体はというと、

    129塩基2

    129CAG-GFPマウスでリファレンス塩基が青色のCが赤のTに置き換わっている箇所はFLS3とFI幹細胞は共に灰色(灰色はリファレンス塩基と同じことを表している)である。つまり、129の特徴がないということで、これは129が欠失していることと辻褄が合うのである。



    2017.11.20 Mon l STAP細胞事件 l コメント (0) トラックバック (0) l top
    その後の阿塁未央児(@aruimiouji ‏)氏のツイッターは、STAP論文作成に使用された、「公共データベース登録されたFI-SCのデータには、もしかして欠失はなかったかも?」とトーンダウンしているが、私はポップアップメニューの内容から、やはり、

    「Chip-seq(input)のFI幹細胞に欠失はない」

    でいいんじゃないかと思っている。

    IGVのカバレッジの灰色の部分にカーソルを当てると、ポップアップメニューが現れ、その塩基の地番と種類、およびトータルカウント数が表示される。そのカウント数は+と-に区分され、それらを合わせるとトータルカウント数に一致するようになっている。

    この「+」と「-」は何を意味しているかというと、おそらく+鎖と-鎖を意味しているだろうと思う。DNAは二重らせん構造でATGCからなる塩基の二つの鎖がたがいに相補鎖となっているが、該当の塩基がどちらの鎖から読まれたかを表していると思うのだ。

    つまり「1+、1-」であれば、それぞれ+鎖と-鎖から1本ずつ読み込まれていると思われる。

    Acr/CAG-GFP 129B6F1のFES1の8番染色体は129系の欠失があるとされているから、もし欠失があれば、欠失箇所の塩基はすべて+鎖か-鎖のいずれかで表示され、両方では検出されないことになる。

    IGVで調べると欠失があるとされる範囲の塩基はどちらか一方しか検出されないものもあるが、その欠失範囲において一様に+鎖と-鎖がカウントされており、トータルカウント2以上で+鎖と-鎖、どちらもカウントされているものがある。従って、欠失とされる範囲に欠失はないということになる。

    FLS3を同じように調べるとはっきりするが、手元にないので、とりあえず思いついたことを書いてみた。

    やはり欠失はない
    2017.11.20 Mon l STAP細胞事件 l コメント (0) トラックバック (0) l top
    阿塁未央児氏のもうひとつの興味深いツイッターの内容を紹介しよう。STAP細胞における遺伝子「Eepd1」の発現についてである。

    Eepd1.png

    ES細胞の発現量はわずかだが、STAP細胞でははっきりとした発現が見て取れる。興味深いのはこのEepd1遺伝子の機能である。

    MGI(Mouse Genome Informatics)という、マウスの遺伝子等に関する様々な情報を提供してくれるサイトがあり、このサイトの検索欄にEepd1と打ち込んで遺伝子情報を調べたのが次の図である。

    GMI.png

    Biological Process(生物学的プロセス)でresponce to stimulus(刺激に対する応答)の欄にチェックが入っている。「stimulus」、STAP細胞の「S」である。まさに刺激を受けた細胞がその生物学的プロセスとして反応するとき発現する遺伝子なのである。


    2017.11.14 Tue l STAP細胞事件 l コメント (0) トラックバック (0) l top
    阿塁未央児‏氏の10月26日のツイッターは次のようなものであった。

    出ました!。完膚なきまでに、STAP特異的な発現!。STAP-SCもFI-SCもない。ESCもEpiSCもなし!。オマケのDUX+ESCもなし!。

    公共データベースの登録データから「Bmper」遺伝子がSTAP細胞しか発現していないのを見つけたとつぶやいていたのだ。そこで、このSTAP細胞とES細胞のRNA-seqデータをダウンロードしてIGVにかけてみた。

    Bmper1.png

    ①と③のデータはTs.Maker氏、②と④は阿塁未央児‏氏がIGVで扱えるよう加工してアップロードしていたものである。①と②はES細胞のRNA-seqデータで、③と④がSTAP細胞のRNA-seqデータである。

    STAP細胞のBmper遺伝子のリード数は472と417あり、かなりな発現量である。対してES細胞は全く発現していない。また、Pou5f1(Oct3/4)はどうかというとES細胞に比べかなり量は低いがはっきりと発現しているのが分かる。

    Pou5f1.png

    この2つのことから、公共データベースに登録された試料はES細胞を混入させて作ったものでないことは明らかで、STAP細胞そのものだったということになる。



    2017.11.14 Tue l STAP細胞事件 l コメント (0) トラックバック (0) l top