若山氏が論文の撤回を求めても、他の共著者に賛同は広がらなかった。撤回の理由が論文の根幹をなすものではなかったからだ。そこで、若山氏はマウスの系統が違っていたことを自ら公表することになる。2014年3月25日、「STAP幹細胞を若山研で簡易検査をしたところ、STAP幹細胞の8株中の2株から異なる系統の遺伝子型が見つかった」とNHKが報道している。これにより、笹井氏も撤回やむなしという立場になっていったと思われる。

    実際のところ、このとき若山氏にも何が起こっているのか分からなかっただろう。自分たちは間違いなくSTAP細胞をつくりキメラをつくった。しかし、出来たマウスの系統は違っていた。このため、若山氏は第三者機関(放医研)に詳細な解析を依頼したのである。その結果を受け、6月16日、若山氏は記者会見を開いて、「STAP幹細胞を第三者機関が解析したところ、若山研がこれまで維持してきたマウスや細胞のものとは異なるという結果が出た」と報告し、小保方氏が若山氏の許可なく外部からマウスを持ち込んだ可能性を示唆したのである。このときの会見内容は次のようなものであった。

    ①小保方研のFLS3とFLS4については15番染色体の片方の染色体にCAG- GFP 遺伝子が挿入されていた。
    ②CAG-GFP を15番染色体にヘテロで持つマウスがどこ由来なのか、そのマウス個体が STAP 細胞から STAP 幹細胞が樹立された時期に若山研(あるいは小保方研)に生存個体として存在していたのかは不明である。
    ③AC129は渡したマウスは129/Sv-GFPだったが129B6F1だった。


          2014年6月16日若山氏の記者会見

    GFPが15番染色体にあることから①、②のFLSについては若山研にはないマウスなので、マウスの取り違いはないと思ったはずである。しかし、③のAC129についてはマウスの取り違いかどうかは不明であった。

    このとき、若山氏と小保方氏は利益相反の関係にあった。小保方氏を擁護し、STAP細胞はあるというと、違うマウスが出来たことで、それは自分の首を絞めることになる。反対に小保方氏の捏造にすればマウスの取り違いはその陰に隠れてしまう。若山氏は①、②があったので、自分の保身に走ることが出来たのである。

    しかし、結局、後になって、この①、②の解析結果は間違っていたことが分かる。15番染色体にあると思っていたのは、アクロシンという精子が光る特殊なGFPだったので、15番染色体にあるように誤認しただけのことだった。実際には元のマウスは若山研で維持されている岡部マウスであったことが分かっている。しかし、一端、切ってしまったハンドルはもう元には戻せなかったのである。






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    2015.11.07 Sat l STAP細胞事件 l コメント (0) トラックバック (0) l top

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