この一連のPC遠隔操作事件の始まりは平成24年6月29日(金)の横浜CSRF事件であり、犯人が誤認逮捕されたのは7月1日(日)である。被告は自分自身も脅迫メールで実刑判決を受けており、この脅迫メール事件については非常な関心を持っていたはずである。乙社のPCで、事件に関する報道サイトの閲覧ログが数万件あったというが、単に遠隔操作による機械的な閲覧ばかりではなく、被告自身もかなりの頻度で閲覧していたものと思われる。このため、自分の存在を捜査機関に知られないようTorを使っており、これが結局、サイバー捜査の網に引っ掛けるという犯人の企みが失敗した理由であると思われる。

     被告は事件が起きる6月頃にはソフト開発が思うように進まず悩んでいたという。これについては度重なるソフトの仕様変更にも原因があったと甲社社長は証言している。公判中に臨床心理士の長谷川氏によって被告は「自閉症スペクトラム」と診断されているが、自閉症のイマジネーション障害(臨機応変に対応する能力の欠如)と捉えると、度重なる仕様の変更が被告にとっていかに負担だったのか想像に難くない。こういう状態での脅迫メール事件の発生は遅れた仕事に、さらに追い打ちを掛けたであろうと思う。被告はその後まもなく、心療内科を受診(7月11日(水))するほどになっている。

     ソフト開発に悩んでいるということはプログラムのロジックを考えることはもちろん、プログラミング言語をみることにも支障をきたしていたのではないかと思う。そのような被告がiesysというマルウェアだけは開発出来たとはとても思えない。断酒会に入りながら、つい酒に手を出してしまう依存症はあっても、ソフト開発に悩み、心療内科を受診しながら、iesysの開発に没頭するなどというのはあり得ない話だろう。

     また、iesysの機能は豊富で、したらば掲示板を使うなど多様な環境で動作しながら、一つの命令を実行するという非常にシステマチックな構造である。自閉症スペクトラムの症状を持つ者には難しいプログラム構造であると思える。被告はシステムと呼べるものを組んだことがないと供述しているが、これは彼の病状と関係していると思われる。単体では優れたプログラムを作れるとしても、組織的、体系的に動作するソフトは作れないのではないかと思う。

     結局、乙社を退社し、丙社に移るが被告の事件への興味は衰えることなく、社内のPCから事件関連のサイトを見続けていたことになる。丙社ではTorが使えないので、生のIPアドレスで見ており、それが10月1日から10月9日までのサイトの閲覧ログに残っていたのだろう。しかし、生のIPアドレスで見続けることは危険であり、被告はLogMeInを使って自宅のPCを遠隔操作し、そこからTorを使って閲覧することを思い付いたのだと思う。そうしているうち、自分が犯人にされようとしていることに気付き、状況は悪化して、12月1日(土)からの休職になっていったと思われる。


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    2014.11.15 Sat l PC遠隔操作事件 l コメント (0) トラックバック (0) l top

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