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    以下、「ミトコンドリアの特異点はクローンマウスの痕跡である(1)」で書いた「②特異点が塩基『A』を持つマウスの系統」の話である。

    DNAにはその塩基の種類を見れば、マウスの系統が分かるSNPs(一塩基多型)が存在する。

    FLS3が129X1雌マウスとB6雄マウスの受精卵ES細胞なら、ミトコンドリアDNAは雌の129X1になっているはずで、どこかに129X1マウス系統のSNPsを検出できるはずである。

    ところが、ミトコンドリアDNAには129X1と分かるSNPsが存在しない。ミトコンドリアのDNAはわずか16,500塩基ほどで、常染色体の約一万分の一と桁違いに少ないのである。

    SNPデータベースでは129X1を含めマウス系統の約90種類のSNPsが調べられるが、ミトコンドリアの特異点(12,188)が塩基「A」になるものはない。そもそも特異点はSNPsとは認識されていないのである。

    その中で塩基「A」になっているマウスを調べ出したTs.Marker氏の情報は貴重なものであった。それによると、マウス系統は「NOD / ShiLtJ」である。もっとも、NOD / ShiLtJもSNPデータベースに登録されているマウス系統のひとつであるが、12,188にSNPsはないのである。

    NOD_ShiLtJ-2.png
                 特異点(12,188)が塩基「A」になっている

    特異点が「A」のマウスが存在するというのは非常に重要だ。このようなマウスがホスト胚であれば、クローンマウスはFLS3のようにヘテロプラズミーで生まれてくることになる。

    NOD / ShiLtJマウスを提供しているCharles River社のホームページにはNOD / ShiLtJマウスは非近交系のICRマウスが起源であると書かれている。

    実験マウスはクローズドコロニーと近交系の 2 種類に大別される。近交系は兄妹交配を 20 世代以上継続した系統で、系統内の個体はまったく同じ遺伝子組成をもつ。このため、SNPデータベースにSNPsを登録することが可能である。

    一方、クローズドコロニーは 5 年以上外部から種マウスを導入することなく、一定の集団内でランダム交配により維持されている系統で、このため、各個体の遺伝的性質はばらつきがある。従って、マウス系統としてのSNPsを登録できないことになる。

    若山研のクローン研究に伴う「動物実験計画承認申請書」ではクローズドコロニーマウスのICRマウスが申請されており、その数は年間、2,000個である。これだけの量ならどのタイミングでもクローンをつくることは可能だろう。

    1月31日から2月2日にかけて作ったFLS3のクローンマウスのホスト胚は、たまたま特異点が「A」のICRマウスであった。その後、5月25日、7月9日のCTS-1、11~13も同じICRマウスが使われたが、このときのマウスの特異点は「A」ではなく一般的な「T」でヘテロプラズミーにはならなかったのだろうと思う。

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    2018.01.29 Mon l STAP細胞事件 l コメント (0) トラックバック (0) l top

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