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    この129B6F1 Acr/GAG-GFPの細胞株だけを抜き出すと次のようになる。

    ミトコンドリアの特異点2

    それぞれの細胞株は塩基のT(チミン)が49%から100%まであり、それに伴いA(アデニン)が51%から0%になっている。

    実は、「FLS3にはクローンの痕跡がある」を書いてから、もしかしたらFES1の特異点に二重塩基はないのではないかと思っていた。それは、文献「ミトコンドリア DNA 複製の常識の一端が覆る」に次の記述を見つけたからである。

    個々の細胞には、数百から数千個以上ものミトコンドリアゲノムDNAがあり、しばしば突然変異することから、このDNAの組成はかなり不均一になると予測されます。また、歳をとると、一部の組織のミトコンドリアDNAは不均一になっていきます。しかし奇妙なことに、増殖している個々の細胞や新生児では全身で、全てのミトコンドリアDNAが同一の遺伝子型組成(同一のDNA配列)を持っています。この「ホモプラスミー」と呼ばれる状態へ短時間にリセットするという細胞質遺伝の現象は、酵母からヒトまで共通にみられます。

    クローンの仔はドナーとレシピエント両方のミトコンドリアDNAが混在する状態(ヘテロプラズミー)で生まれてくる。このため、クローンマウスから作ったSTAP細胞のミトコンドリアはヘテロプラズミーである。そこからSTAP細胞を培養してSTAP幹細胞を作ると、その培養は細胞の形質を変える培養なのでミトコンドリアはそのままであろう。

    しかし、いったん出来たSTAP幹細胞を培養するとSTAP幹細胞は増殖するので、ミトコンドリアがホモプラスミー化することになる。

    つまり、クローンマウスからFLS3が作られヘテロプラズミーとなったミトコンドリアはFLS3→129/GFP ES→FES1と培養していくにつれ、次第にホモプラスミー化していき、FES1では特異点の二重塩基がみられない可能性もあると思っていたのだ。

    実際には、④FES1と⑥129/GFP ESはT:80%、A:20%で共に特異点の二重塩基が検出されてる。公共データベースに登録されていた⑫STAP幹細胞はT:85%、A:15%で、Aの構成比がそれより低い。これらは、培養によるミトコンドリアのホモプラスミー化で説明できるのである。

    ⑤FES2については市販の129X1雌マウスとAcr/CAG-GFP B6雄マウス(岡部マウス)から作られた受精卵ES細胞だろうと思う。このため、二重塩基にはならなかった。

    一方、⑯FI幹細胞、⑰CTS-1の3つの細胞株では特異点の二重塩基が消えているが、これについては完全にホモプラズミー化したということではなく、別の理由だと思う。


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    2018.01.21 Sun l STAP細胞事件 l コメント (0) トラックバック (0) l top

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