調査委員会がFES1の混入であるとしたSTAP幹細胞FLS3について、犯人の偽装工作がどのようなものだったのか、公開された保全リストを絡めながら、あらためて書いてみたい。

    ES細胞の混入ルートはFES1→129/GFP ES→FLS3だが、それぞれの細胞株について分かっていることは次の通りである。

    調査結果

    ここで、FES1と129/GFP ESの細胞株は1種類だが、FLS3には①FLS-3 P2(保全リスト試料No.5)と②P40 FLS-3 (No.99)と③FLS1~8,13(No.123)の3種類ある。

    保全リストの試料「GLS P3 2013.5.11(No.110)」の備考欄には、「1回起こしてP3となったもの」という記述があり、「P」はPassaged(継体)の頭文字で、P2はオリジナルのFLS3を1回、P40は39回、継体培養を繰り返したものと思われる。このP40はSTAP幹細胞の細胞分裂の限界を調べたときのものではないだろうか。

    調査委員会が調べたFLS3は当然、③のオリジナルだと思われる。

    偽装工作について書く前に、まず、調査委員会が作成した「近縁率表」から「ES細胞の混入」という結論の矛盾点を指摘しておく。

    「近縁率表」とは以下のもので、近縁率が高いほど、2つの細胞はより近い関係にある。

    近縁率表

    ・マウスの約30億塩基対の1%以上(突然変異ではないことになる)に通常の塩基対とは異なる塩基対が見られる箇所があり、それらをSNPs(一塩基多型)と呼ぶ。
    ・SNPsを調べればマウス系統の違いなど個体差を知ることができる。
    ・FES1とFES2(FES1と同種のES細胞)のSNPsを突き合わせると両者で異なるSNPsが24,649塩基対あった。
    ・この異なるSNPsの個所を各細胞株について調査、比較し、両者の近縁率を出した。近縁率99.95%というのは10,000個のSNPsで9,995個が一致するということである。

    ここで、混入に関係する3つの細胞株のそれぞれの近縁率は、「FLS3はFES1の混入によって作られた」では説明が付かないのである。

    混入矛盾

    (矛盾1)
    FES1は2005年に凍結保存されている。作った後は研究に使わなかったとあるので、作成後そのまま凍結されたことになる。そして小保方研の冷凍庫で見つかった129/GFP ESはそのFES1を解凍・培養して作っただけの細胞株のはずである。培養すると細胞分裂を起こすので培養変異が起きSNPsも変化するが、別の129/GFP ESからFLS3になったときの変異は近縁率で99.95%である。これに比べ、FES1と129/GFP ESの近縁率が99.28%というのはあまりにも低く、その説明が付かないのである。

    (矛盾2)
    FES1と129/GFP ESの近縁率は99.28%でFES1とFLS3の近縁率は99.33%である。このため、混入した129/GFP ESより、それを培養して作ったFLS3の方が近縁率が高いというのは明らかに矛盾する。

    では、実際にはどうなっていたかというと、下図のように、129/GFP ESとFES1はFLS3から逆に作られているはずである。これが、偽装工作である。

    業務妨害1

    (ステップ1)
    STAP細胞、FLS3が出来たとき、それを培養して129/GFP ESを作り、小保方氏の冷凍庫に置いた。従って、近縁率は99.95%とほぼ同じになった。

    (ステップ2)
    保全リストの「FLS(No.113)」の備考欄に「4番?4番ばかり使っていた(4番は感じ悪いので自分が使用)」との記述がある。小保方研には同種のSTAP幹細胞がFLS1~8と13の9種類あり、小保方氏はそのうちのFLS4を使っていた。おそらく若山研ではFLS3を使っていたのではないか。同じFLS3を使っているうちに培養変異が蓄積され、オリジナルとの近縁率は徐々に下がっていったと思われる。

    (ステップ3)
    FES1を調査委員会に送るとき、そのよく使っていたFLS3を(解凍・)培養してFES1として送付した。このため、オリジナルとの近縁率は99.33%となった。FES1からみて129/GFP ESがオリジナルより遠いのは培養変異がランダムで、129/GFP ESにはオリジナルにはない別の変異が入っているからである。

    (ステップ4)
    調査委員会では解析のため、細胞株を培養するから、このときにも培養変異が起きる。FLS3を培養して129/GFP ESをつくり、それらの近縁率を調べると合計、3回の培養が入ることになる。その結果が近縁率99.95%である。このため、培養1回で、近縁率は0.01~0.02%下がっていることになる。つまり、SNPs1万個につき、1個ないし2個の変異である。

    実はこのFES1がFLS3にすり替えられたという仮説を裏付ける状況証拠がある。次回はそれについて書くことにする。


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    2016.08.31 Wed l STAP細胞事件 l コメント (0) トラックバック (0) l top

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