STAP幹細胞、FLSに混入したとされたES細胞はFES1であり、小保方氏の着任1年前に京大に引き上げられたはずのES細胞である。それが何故、混入したとされたかというと、それと酷似のES細胞、129/GFP ESが小保方氏の冷凍庫で見つかったからである。しかし、調査委員会はFLSはFES1由来であるとしているだけで、129/GFP ESが混入したとは一言も書いていない。実は、書けないのである。129/GFP ESは作者不詳、作成日不明でFLSより先に作られている証拠はない。加えて、遺伝子解析で129/GFP ESはFES1からみるとFLSより一致度が低い。このため作製順としてはFES1→FLS→129/GFP ESの順となり、とても混入したとは言えないのである。結局、FLSについてはES細胞が混入したとする直接的な証拠はないのである。

    一方、当時の若山研ではマウスから実際にSTAP幹細胞、FLSが作れる環境にあったことが調査委員会の報告書から見てとれる。それはP29に次のように書かれている。

    「STAP幹細胞FLSから作製した4Nキメラを戻し交配して得た子にGFPを含まないマウスが含まれていた。このことは、STAP幹細胞FLSを作成したマウスは129(CAG-GFPホモ)とB6(CAG-GFPホモ)を交配したF1であるとの、若山氏の認識と矛盾する結果だが、若山氏と小保方氏はこの矛盾について、それ以上の追求をしなかった。」

    4Nキメラというのは特殊なキメラで注入した遺伝子のみを持って生まれてくるキメラである。また、戻し交配とは、生まれてきた子とその片親を交配させるものである。4Nキメラから戻し交配する実験というのは、ジャームライントランスミッションのことだろう。ジャームライントランスミッションについては告白本「あの日」に次のように書かれている。

    「キメラマウス作製は初期胚の中に注入した細胞が個体を形成するさまざまな細胞になれる能力があるかどうかを確認するための実験だが、精子や卵子といった生殖細胞にもなることができ遺伝情報が次世代へ伝承される現象をジャームライントランスミッションと呼ぶ。ジャームライントランスミッションを観察するためにはキメラマウスに子供を産ませ、その子供がキメラマウス作製時時に注入された細胞の遺伝子を有しているかを調べることで判定できる。」

    調査委員会の解析結果でFLSはGFPを持たないメスの129X1マウスとオスのAcr/CAG-GFPをもつB6マウスから作られている。Acr/CAG-GFPをもつB6マウスは若山研が2003年に大阪大学の岡部研より導入しており、岡部マウスとして、最小コロニーで飼育されていたことが分かっている。一方、129X1は市販の129系マウスである。この調査委員会の報告内容からSTAP幹細胞FLSを作り、4Nキメラを作って戻し交配した図を示すと下のようになるが、その生まれた子の半数はGFPを持たなかったというのであるから、GFPを持たない市販の129系マウスがいたのは明らかである。

    ジャームライン

    FLSは8株あるが全部オスである。これもES細胞の混入の証拠とされたのだが、これはオスの仔マウスを選別してSTAP細胞を作ったからだと思われる。生まれた子はGFPを持たない129系のメス親と交配させるので、オスでなければならない。GFPなしのメス親と掛け合わせて、GFPを持つ子が生れてくれば、ジャームライントランスミッションの証明となるのである。

    ここで、不思議なのは若山氏が129系にもCAG-GFPを使う予定だったとしていることである。親にGFPが入っていれば戻し交配の子は全てGFPを持ち、キメラのGFPかどうか区別できず、それではジャームライントランスミッションの証明が出来ない。これは、告白本「あの日」にも次のように書かれているところをみると、若山氏が単に思い違いをしていたということなのだろうか。

    「今回の実験系の場合、実験が正しく行われていたならば、生まれてくる子供たちはすべてGFP陽性で緑に光るはずだった。ところが、若山先生から、『生まれてきた子供たちの半数にGFPの発現がなかった』という結果を聞かされた。『どうしてですか?』と伺うと、『僕のマウスコロニーがおかしいみたい』とおっしゃった。」

    「STAP細胞はES細胞の混入である」は「STAP関連細胞株と酷似のES細胞がある」というだけで、混入を示す証拠はない。「STAP細胞があったとすると矛盾する」証拠が見つかっているわけではなく、間接的に「STAP細胞はない」となっているだけである。一方で、「STAP細胞は作れる環境にあった」という証拠が存在し、STAP細胞があったとしても矛盾はないのである。

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    2016.02.11 Thu l STAP細胞事件 l コメント (0) トラックバック (0) l top

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