テラトーマの話に移る前に、告白本「あの日」により、新たに分かったことを書いておこう。テラトーマを説明する前振りにもなる話である。

    最初に作られたSTAP幹細胞は2011年11月25日のGOF(Oct4-GFPを持つB6)マウスから作製されたSTAP幹細胞だと思っていた。理由は、若山研がCDBから山梨大へ実験室を移したときの移管書で、GOF(B6)マウスから作製したGL-1 to -8という細胞株の樹立日が一番早かったからだ。

    移管書_convert

    ところが、告白本「あの日」によると、それより早く樹立されたSTAP幹細胞があったことが書かれている。

    「ある日、若山先生から、『ES細胞にはES細胞が樹立しやすい系統のマウスと樹立が難しい系統のマウスが存在している。また、クローンマウスを作りやすい系統のマウスが存在しているから、その系統のマウスを使って小保方さんのキメラマウスの作製を行ってみたい』とご提案いただいた。若山先生が準備してくれたマウスは129×B6F1と呼ばれるマウスで129という系統のマウスとB6という系統のマウスを交配させて作製した雑種の赤ちゃんマウスだった。」

    「何度か繰り返し実験を行ったが、やはりキメラマウスはできてこなかった。それにもかかわらず、若山先生はあきらめずに実験を繰り返してくださった。ある日いつも通りスフェアを渡すと、『これまではスフェアをバラバラの細胞にしてから初期胚に注入していたが、今日からはマイクロナイフで切って小さくした細胞塊を初期胚に注入してキメラマウスを作ることにした』とおっしゃった。それから10日後、若山先生からキメラができたと連絡を受けた。その上、残りの細胞をES細胞樹立用の培養液で培養したらES細胞様に増えだしたと報告された。毎日、スフェア細胞を培養し観察していた私は、細胞が増える気配すら感じたことがなかったので大変驚いた。」


    ここで、ES細胞樹立用の培養液で培養したらES細胞様に増えだしたというのはSTAP細胞がSTAP幹細胞になったということを意味する。つまり、一番、早いSTAP幹細胞はGOFマウスではなく129B6F1マウスから作られているのである。キメラマウスの実験が本格的になったのは2011年10月からであり、おそらく10月から11月にかけて最初のSTAP幹細胞が出来ていたことになる。その後、GOFマウスのSTAP幹細胞が樹立されたということだ。ここで、GL-1 to -8にはキメラ胚×10と書かれており、GOFマウスから作られたキメラ胚もあったことが窺える。

    STAP細胞は培養が難しく時間が経つと死滅してしまうが、STAP幹細胞は培養出来るので保存ができる。移管書によれば、129B6F1マウスから作られた最初のSTAP幹細胞は2012年1月31日のFLS-1とFLB-1 to 8ということになるが、その2カ月以上前に129B6F1マウスから作られたSTAP幹細胞があったことになる。この最初の記念すべきSTAP幹細胞が移管書には書かれていないのである。

    ここで、この移管書(本の中ではMTAと書かれている)について、告白本「あの日」では次のよう書かれている。

    「本来なら理研で作製されたサンプル等は理研に所有権があるため、理研外に持ち出す際には研究成果有体物移転契約書(MTA)と呼ばれる書類を作成し、何をいくつ持って行くかの契約を交わす必要がある。若山先生はMTAもされていないので『何をいくつ持って行ったのかは若山さんの自己申告以外にない』と事務の人に説明された。のちに「(MTAを交さないと)このままでは窃盗で訴える』と理研が若山先生に言ったところ『慌てて書類を出してきた』と理研の幹部の人が教えてくれた。そのため、若山先生が理研と交わしたMTAは若山先生の自己申告による事後契約となっている」

    このため、山梨大の若山研にはこの移管書には書かれていない他のSTAP関連細胞株が存在する可能性がある。

    Letter論文のExtended Data Fig.1aの2NキメラはArticle論文のExtended Data Fig.7dと同じ4Nキメラで、調査報告書P21に、PCに残っていた写真と若山氏の実験ノートから、この写真が撮られたのは2011年11月28日であると書かれている。このキメラ胚は論文によれば、129/SvとGOFマウス(CAG-GFPのB6)の129B6F1マウス(B6GFP×129/Svは誤り)であり、ほぼGL-1 to -8と同時期に作られたものである。これについてもSTAP幹細胞が作られている可能性がある。

    この頃に129B6F1のSTAP幹細胞が作られていたと仮定すると、Oct4-GFPであるはずのテラトーマのサンプルに、Oct4-GFPではなく、Acr/CAG-GFPが検出されたという不可解な謎も解くことができるのである。


    関連記事
    スポンサーサイト
    2016.02.06 Sat l STAP細胞事件 l コメント (4) トラックバック (0) l top

    コメント

    No title
    popoさん
    それについては、次のエントリーで書く予定なのでしばらく、お待ちください。
    2016.02.09 Tue l wamoga. URL l 編集
    No title
    >この頃に129B6F1のSTAP幹細胞が作られていたと仮定すると、Oct4-GFPであるはずのテラトーマのサンプルに、Oct4-GFPではなく、Acr/CAG-GFPが検出されたという不可解な謎も解くことができるのである。

    すみません。この意味がよくわからないのですが。
    お考えを教えていただけますか?
    2016.02.08 Mon l popo. URL l 編集
    No title
    JISAIさん
    まだ他にもありそうですよね。論文には記載されているが、調査委員会の調べで、残存ストックなしとされたOct4-GFPのFI幹細胞とか。
    2016.02.07 Sun l wamoga. URL l 編集
    No title
    MTAに無い(試料提供されない)STAP幹細胞試料は、対応するESがないのかもしれません
    (4Nキメラも交配ミスの結果でB6GFP×129/Svが正しいとしたら?)
    2016.02.07 Sun l JISAI. URL l 編集

    コメントの投稿












    トラックバック

    トラックバック URL
    http://wamoga.blog.fc2.com/tb.php/110-ff560afa
    この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)