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    最後の項目、「③特異点以外にも2つの塩基(以下、二重塩基)をもつ箇所がミトコンドリアに存在すること」についてである。

    ミトコンドリアの二重塩基をざっと拾い出して表にすると次のようになる。

    ミトコンドリアの特異点3

    これをみて分かるように、特異点(12,188)とそれ以外の二重塩基には明らかな違いがある。特異点以外の箇所はどの細胞株でも約8割、2割の塩基比率である。つまり、細胞株の種類とは無関係である。

    ある生物種集団のゲノム塩基配列中に一塩基が変異した多様性が見られ、その変異が集団内で1%以上の頻度で見られる時、これを一塩基多型(いちえんき・たけい、SNP : Single Nucleotide Polymorphism)と呼ぶ。

    Wikipediaの一塩基多型の説明であるが、マウスという生物種集団でいうとまさにそういう状態である。

    おそらく、これらの塩基は構造上、不安定な塩基なのであろう。従って、多型ができる。

    一方、特異点はクローンマウスに無関係な細胞株には全く多型がない。特異点の塩基はそのような不安定な塩基ではなく、二重塩基の成り立ちが根本的に違うということである。特異点の二重塩基はクローンマウスをつくったときに出来たものだとしか考えられないのである。

    「天網恢恢疎にして漏らさず」というが、犯人がクローン胚にたまたま選んだマウスが特異点に「A」をもつというレアなマウスであったというのは、まさに神のなせる業ということになるだろう。



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    2018.01.30 Tue l STAP細胞事件 l コメント (0) トラックバック (0) l top
    以下、「ミトコンドリアの特異点はクローンマウスの痕跡である(1)」で書いた「②特異点が塩基『A』を持つマウスの系統」の話である。

    DNAにはその塩基の種類を見れば、マウスの系統が分かるSNPs(一塩基多型)が存在する。

    FLS3が129X1雌マウスとB6雄マウスの受精卵ES細胞なら、ミトコンドリアDNAは雌の129X1になっているはずで、どこかに129X1マウス系統のSNPsを検出できるはずである。

    ところが、ミトコンドリアDNAには129X1と分かるSNPsが存在しない。ミトコンドリアのDNAはわずか16,500塩基ほどで、常染色体の約一万分の一と桁違いに少ないのである。

    SNPデータベースでは129X1を含めマウス系統の約90種類のSNPsが調べられるが、ミトコンドリアの特異点(12,188)が塩基「A」になるものはない。そもそも特異点はSNPsとは認識されていないのである。

    その中で塩基「A」になっているマウスを調べ出したTs.Marker氏の情報は貴重なものであった。それによると、マウス系統は「NOD / ShiLtJ」である。もっとも、NOD / ShiLtJもSNPデータベースに登録されているマウス系統のひとつであるが、12,188にSNPsはないのである。

    NOD_ShiLtJ-2.png
                 特異点(12,188)が塩基「A」になっている

    特異点が「A」のマウスが存在するというのは非常に重要だ。このようなマウスがホスト胚であれば、クローンマウスはFLS3のようにヘテロプラズミーで生まれてくることになる。

    NOD / ShiLtJマウスを提供しているCharles River社のホームページにはNOD / ShiLtJマウスは非近交系のICRマウスが起源であると書かれている。

    実験マウスはクローズドコロニーと近交系の 2 種類に大別される。近交系は兄妹交配を 20 世代以上継続した系統で、系統内の個体はまったく同じ遺伝子組成をもつ。このため、SNPデータベースにSNPsを登録することが可能である。

    一方、クローズドコロニーは 5 年以上外部から種マウスを導入することなく、一定の集団内でランダム交配により維持されている系統で、このため、各個体の遺伝的性質はばらつきがある。従って、マウス系統としてのSNPsを登録できないことになる。

    若山研のクローン研究に伴う「動物実験計画承認申請書」ではクローズドコロニーマウスのICRマウスが申請されており、その数は年間、2,000個である。これだけの量ならどのタイミングでもクローンをつくることは可能だろう。

    1月31日から2月2日にかけて作ったFLS3のクローンマウスのホスト胚は、たまたま特異点が「A」のICRマウスであった。その後、5月25日、7月9日のCTS-1、11~13も同じICRマウスが使われたが、このときのマウスの特異点は「A」ではなく一般的な「T」でヘテロプラズミーにはならなかったのだろうと思う。

    2018.01.29 Mon l STAP細胞事件 l コメント (0) トラックバック (0) l top
    この129B6F1 Acr/GAG-GFPの細胞株だけを抜き出すと次のようになる。

    ミトコンドリアの特異点2

    それぞれの細胞株は塩基のT(チミン)が49%から100%まであり、それに伴いA(アデニン)が51%から0%になっている。

    実は、「FLS3にはクローンの痕跡がある」を書いてから、もしかしたらFES1の特異点に二重塩基はないのではないかと思っていた。それは、文献「ミトコンドリア DNA 複製の常識の一端が覆る」に次の記述を見つけたからである。

    個々の細胞には、数百から数千個以上ものミトコンドリアゲノムDNAがあり、しばしば突然変異することから、このDNAの組成はかなり不均一になると予測されます。また、歳をとると、一部の組織のミトコンドリアDNAは不均一になっていきます。しかし奇妙なことに、増殖している個々の細胞や新生児では全身で、全てのミトコンドリアDNAが同一の遺伝子型組成(同一のDNA配列)を持っています。この「ホモプラスミー」と呼ばれる状態へ短時間にリセットするという細胞質遺伝の現象は、酵母からヒトまで共通にみられます。

    クローンの仔はドナーとレシピエント両方のミトコンドリアDNAが混在する状態(ヘテロプラズミー)で生まれてくる。このため、クローンマウスから作ったSTAP細胞のミトコンドリアはヘテロプラズミーである。そこからSTAP細胞を培養してSTAP幹細胞を作ると、その培養は細胞の形質を変える培養なのでミトコンドリアはそのままであろう。

    しかし、いったん出来たSTAP幹細胞を培養するとSTAP幹細胞は増殖するので、ミトコンドリアがホモプラスミー化することになる。

    つまり、クローンマウスからFLS3が作られヘテロプラズミーとなったミトコンドリアはFLS3→129/GFP ES→FES1と培養していくにつれ、次第にホモプラスミー化していき、FES1では特異点の二重塩基がみられない可能性もあると思っていたのだ。

    実際には、④FES1と⑥129/GFP ESはT:80%、A:20%で共に特異点の二重塩基が検出されてる。公共データベースに登録されていた⑫STAP幹細胞はT:85%、A:15%で、Aの構成比がそれより低い。これらは、培養によるミトコンドリアのホモプラスミー化で説明できるのである。

    ⑤FES2については市販の129X1雌マウスとAcr/CAG-GFP B6雄マウス(岡部マウス)から作られた受精卵ES細胞だろうと思う。このため、二重塩基にはならなかった。

    一方、⑯FI幹細胞、⑰CTS-1の3つの細胞株では特異点の二重塩基が消えているが、これについては完全にホモプラズミー化したということではなく、別の理由だと思う。


    2018.01.21 Sun l STAP細胞事件 l コメント (0) トラックバック (0) l top
    以前、「FLS3にはクローンの痕跡がある」を書いてからかなり時間が経ってしまった。その間、Ts.Marker氏や阿塁未央児氏がミトコンドリアの12,188(以下、特異点)についていろいろ調べてくれているので、それらを踏まえ、再度、ミトコンドリアの特異点はクローンの痕跡だということをじっくり書いてみようと思う。

    二人が調べたのは、

    ①公共データベースに登録された細胞株と調査委員会解析の細胞株における特異点の状況
    ②特異点が塩基「A」を持つマウスの系統
    ③特異点以外にも2つの塩基(以下、二重塩基)をもつ箇所がミトコンドリアに存在すること

    などである。まず、①について、それぞれの細胞株の特異点がどうなっているのかまとめてみた。

    ミトコンドリアの特異点

    これをみると特異点には規則性がある。129B6F1 Acr/GAG-GFPの細胞株だけ特異点が二重塩基になっている。他の種類の細胞株にはそれがみられない。そして面白いのは、それらの二重塩基の構成比率がそれぞれ違うことである。まずは、この点に着目してみたい。

    2018.01.19 Fri l STAP細胞事件 l コメント (0) トラックバック (0) l top
    前回の記事で、公共データベースに登録されたSTAP細胞のRNA-seq(Truseq)には、Klf4以外に多能性幹細胞がもつ遺伝子発現があまりみられないと書いた。しかし、別のSMARTerのデータではそれらの遺伝子がちゃんと発現している。それもES細胞と同等以上の発現量である。

    このうちのOct3/4、Klf4、Sox2の3つの遺伝子は一度分化した細胞(体細胞)を初期化、リプログラミングするための初期化因子、山中ファクターとしても知られている。

    このSMARTerのデータがES細胞ではないことは、TS細胞特異遺伝子Sox21とEomesの発現で分かる。これらはES細胞では発現していない。

    RNA-seq(Truseq)データを取るためGRASに持ち込んだSTAP細胞ではキメラやSTAP幹細胞ができなかったとしても、このES細胞の同等以上の発現量からして、SMARTerのSTAP細胞ならキメラもSTAP幹細胞も出来るのではないかと思う。

    発現pou5f1-Klf4-2

    発現sox2-nanog-2

    発現Esrrb-Rex-2

    発現Cdx2-Sox21-2

    発現Eomes-Elf5-2



    2018.01.09 Tue l STAP細胞事件 l コメント (0) トラックバック (0) l top
    学とみ子氏のブログ「丹羽氏の実験において、緑色蛍光を発した細胞が2個みえます。」に丹羽氏が肝臓から作製したATP浴後の凝集塊でKlf4が特異的に多く出ていることを書いてあった。

    丹羽グラフ

    あらためて公共データベースに登録されたSTAP細胞のRNA-seq(Truseq)を見てみると、STAP細胞におけるKlf4の発現量はES細胞の10倍程高い。丹羽氏の再現実験と同じような結果である。

    発現Klf4-3
               データはいずれもRNA-seq(Truseq)

    丹羽論文では全てのサンプルでKlf4が高く発現しているのは肝臓細胞そのものが発現している可能性があるとしているが、「BioGPS」で見る限り、肝臓のKlf4の発現量はマウスの各部位の中央値よりはるかに低く、ごく僅かである。

    Klf4マウス発現量

    従って、このKlf4の発現量の高さはSTAP細胞のひとつの特徴と考えていいのではないか。ES細胞の混入ではこうはならないだろう。

    参考にその他の遺伝子の発現量は次の通りだが、Oct3/4を含め、公共データベースに登録された他の遺伝子はあまり発現をしていない。丹羽氏の実験データと同じである。小保方氏が脾臓を使ってHCL酸浴で行ったSTAP実験を丹羽氏が肝臓とATPを使い再現したとある意味いえると思う。

    発現pou5f1-2

    発現Sox2

    発現Esrrb

    発現Nanog

    発現Rex-1



    2018.01.08 Mon l STAP細胞事件 l コメント (0) トラックバック (0) l top
    公共データベースに登録されたRNA-seq(Truseq)データのFI幹細胞はOct4-GFPのB6マウス系統と少量のCD1系統の二種類の細胞腫を含んだサンプルに由来すると書かれている。

    このFI幹細胞はES細胞特異遺伝子とTS細胞特異遺伝子を共に発現していてるが、それはB6のES細胞とCD1のTS細胞がそれぞれ発現しているからだと言われてきた(遠藤論文)。

    遠藤論文TS

    しかし、遠藤論文を見る限り、Sox21の発現はCD1だけでなく、B6からもあるはずだと「STAP細胞もキメラもSTAP幹細胞もFI幹細胞も全てある」で書いてきた。

    公共データベースの登録データを直接、IGV(Integrative Genomics Viewer)で確認できる環境が整ったので、改めてどうなっているのか調べてみた。

    まず、Elf5(TS特異遺伝子)であるが、CD1側から発現しているというのはその通りだった。FI幹細胞の発現量(中央に発現値の範囲を書いているのでこれに注目)が0-139と少ないが、これはCD1が少量だからであり、図のパターンをみても同じ細胞株から発現していると分かる。

                       Elf5の発現量
    Elf5-3.png

    しかし、やはりTS特異遺伝子Sox21についはそれでは説明が付かない。

                       Sox21の発現量
    sox21-4.png

    TS細胞CD1が発現するだけならElf5と同じように発現量も数分の1に低くなるだろう。しかし、Sox21の発現量は同等程度あり、しかも図のパターンも違っている(線の色が消えたのはB6系塩基が8割を超え、それが標準塩基と一致したため)。これを数値で示すと以下になる。

    Sox21発現量

    TS細胞CD1での発現はB6系、非B6系で同程度であるが、FI幹細胞になると、非B6系の発現がCD1に比べ1/5程度に減り(量が少ないため)、B6系の発現は低下せず、逆に増えて全体の8割以上がB6系になっている。

    このことはCD1ではないB6の細胞株が発現していることを表している。つまり、B6はES細胞ではなくFI幹細胞だったということである。

    FI幹細胞はSox21は発現してもElf5は発現しないというのは別のChIP-seq((H3K4me3)のデータでも見て取れる。FI幹細胞の一つの特徴であるといえるのではないか。

    Elf5-sox21-2.png

    なぜ、FI幹細胞にCD1のTS細胞が混ざったのかというと、FI幹細胞の作り方にその原因があると思われる。STAP幹細胞を最初はキメラ胚から作っていたとの若山氏の発言があるが、STAP幹細胞をキメラ胚の内部細胞塊で作ったなら、FI幹細胞を栄養外胚葉で作ったことが考えられる。栄養外胚葉にあったキメラ胚のホストのCD1がTS細胞化して一緒に取り出されたのではないかと思う。

    ちなみに、このFI幹細胞のES細胞特異遺伝子Pou5f1(Oct3/4)、Nanogの発現量は以下のとおりである。

    Pou5f1-2.png

    nanog.png


    2018.01.04 Thu l STAP細胞事件 l コメント (0) トラックバック (0) l top
    大田氏のFES1とFES2は129B6F1マウスから作られた受精卵ES細胞であったが、129系マウスは129+Terのはずであった。それが、調査委員会ではどちらも129X1だと解析されていた。

    FES1はFLS3そのものなので129X1なのはいいが、FES2まで129X1なのは本来のFES2にFLS3が混ぜられているからだと思っていた(そう思っていた理由は「調査委員会の解析を妨害した方法(3)」参照)。

    そこで、桂調査委員会が解析したFES2が実際にどうなっているかを調べてみた。

    129X1と129+TerのSNPパターンが違う箇所をみつけ、そのFES2に129+Terならではの塩基があるかどうかを調べることにした。

    SNPパターンの調査には「SNP data retrieval utility」を使用した。とりあえず、第14番染色体で検索すると次のように表示された。

    129x1とTer

    例えば、SNP「6928804」では129X1とB6は同じ塩基「T」に対して129+Ter(129T2)は「C」なので129X1の細胞の中に129+Terが混ざっていれば分かるはずである。これを3つの箇所で調べると以下のようになった。

    129X1とTer2

    129+Terと解析されている核移植ES細胞ntESG1にはちゃんと該当する塩基が現れているが、3つのSNPのFES2にはどれも129+Terの塩基はなかった。

    ということはFES2はFLS3を混ぜて作ったわけではなく、もとから129X1B6の受精卵ES細胞だったということになる。



    2018.01.03 Wed l STAP細胞事件 l コメント (0) トラックバック (0) l top