昨年の2月、「「STAP細胞事件」-テラトーマの怪」で、小保方氏がヌードマウスにOct4-GFPのSTAP細胞を移植して渡米している間に、混入偽装犯がAcr/CAG-GFPのSTAP幹細胞を被せて移植し、テラトーマを作ったのではないかと書いた。

    最近、その推測は正しかったことを阿塁未央児氏のツイッターで知った。そのツイッターには調査委員会の論文「STAP cells are derived from ES cells」にテラトーマからOct4-GFPが検出されていることが書かれていた。

    Fig.1dには、テラトーマの別々の切片2つ(レーン1と2)と陽性対照群としての3種類のSTAP幹細胞FLS4(レーン3)、ES細胞129B6F1 ES5(レーン4)、STAP幹細胞GLS13(レーン5)、陰性対照群としてのB6マウス(レーン6)の試料から検出されたAcr-GFPとOct4-GFPの検出量が、Il2(インターロイキン)遺伝子の検出量を2コピーとして掲載されている。

    テラトーマのqPCR

    この図でレーン1のテラトーマからは約30コピー(Il2の検出量を2コピーとしているので目盛15は30コピーになる)のAcr-GFPが検出され、同時にOct4-GFPが1コピー検出されていることが分かる。つまり、1つのテラトーマの切片からAcr-GFPとOct4-GFP、両方検出されているのだ。

    Acr-GFPとOct4-GFPが共挿入されたトランスジェニックマウスは若山研にはなく、そのようなES細胞、STAP幹細胞も存在しない。このため、小保方氏がヌードマウスにOct4-GFPのSTAP細胞を移植したというのは紛れもない事実で、その結果、定量PCRで検出できるレベルのテラトーマが作られていたことになる。そしてその同じ試料からAcr-GFPが検出されているのは、そこにAcr-GFPを持つSTAP幹細胞も移植されていたということだ。

    小保方氏に悪意を持つ人間が小保方氏のいない間に、テラトーマ実験をこっそり妨害していたという痕跡がしっかり残っているのである。

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    2017.04.21 Fri l STAP細胞事件 l コメント (3) トラックバック (0) l top
    若山氏が論文を撤回しようとする態度には違和感を覚えた。以前、「「キメラマウスの写真の取り違い」は本当か?」で、キメラマウスの写真に取り違いなどなく、これは論文を撤回したいがための方便であると書いたが、なりふり構わず論文を撤回しようとしたのは、マウスのコンタミが明らかになるだけではなく、動物保護団体「PEACE」の存在があったからではないかと思う。

    「PEACE」は理研に「STAP細胞論文の動物実験計画書についての質問書」を2014年5月9日に送ったことをブログに掲載している。理研では動物実験を行うときには、あらかじめ「動物実験計画承認申請書」(以下、「申請書」)を所長に提出し、所長は審査委員会の意見を聴いた上で承認することになっている。「PEACE」は次の理由から、STAP細胞実験が事前の承認なく行われていたのではないかと質問したのである。

    STAP論文に関する動物実験計画書は承認番号「承AH23-02」(2011年10月1日~2013年3月31日)と「承AH25-03」(2013年12月9日~2015年3月31日)の2つあるが、「4月9日に開かれた記者会見に関する補充説明」には、承認された2011年10月4日以前に実験を行っていたとみられる記述がある。また、2つの実験計画書には約8か月のブランクがあるが、5月4日の「不服申し立てについての理由補充書(2) 要約版」には、その間も実験が継続されていたことが示唆されている。

    これに対し理研は以下のように回答している。

    今回、質問いただいた「小保方研究員がSTAP細胞作製実験を行うことのできる動物実験計画書」としては、以下の4件となります。

    (ⅰ)「核移植によるクローン個体作出方法の検討並びに核の初期化機構の解明」
    (2012年4月1日~2013年3月31日)承認番号「承AH14-13」動物実験責任者若山照彦
    (ⅱ)「生体内・生体外ストレスによる体細胞のリプログラミングおよびそのメカニズムの解明」
    (2011年10月1日~2013年3月31日)承認番号「承AH23-02」動物実験責任者若山照彦
    (ⅲ)「マウス初期胚からの神経前駆組織の培養とトランスジェニック動物等による神経分化制御遺伝子の機能解析」
    (2012年4月1日~2014年3月31日)承認番号「承AH14-07」動物実験責任者笹井芳樹
    (2002年6月28日承認より継続している計画になります。)
    (ⅳ)「生体内・生体外ストレスによる体細胞のリプログラミングおよびそのメカニズムの解明」
    (2013年12月9日~2015年3月31日)承認番号「承AH25-03」動物実験責任者小保方晴子

    Harvard大から若山研への客員研究員として、最初は(ⅰ)の実験計画のもとで予備的検討が行われ、研究の本格化とともに(ⅱ)の実験計画が申請され、若山TLの山梨大への移動にともなって論文reviseのための実験は笹井研で行われたため(ⅲ)の下で動物実験がなされ、revise実験終了と自らの研究室の立ち上げとともに(ⅳ)の動物実験計画が申請されたという流れになります。

    小保方氏が客員研究員となったのは2011年4月であるから、(ⅰ)は初期のSTAP細胞実験には該当しない。この「申請書」は以前、紹介した、1匹のドナーマウスから581匹のクローンマウスを作り出すことに成功と発表された論文(承認番号AH14-13-19と書かれている)に関するものである。承認番号はAH14で始まっているので、平成14年(2002年)から継続されており、STAP細胞の予備実験は2011年版の「申請書」に基づいて行われたと理研は言いたかったのであろう。

    これらの「申請書」で使用申請されているマウスは以下の通りである。
    ・(ⅰ)申請マウス:ICR(2000匹)、BALB/c(50匹)、129/Sv(50匹)、DBA/2(50匹)
       C3H/He(50匹)、C57BL/6(50匹)、B6D2F1(4500匹)、Tg GFP(50匹)
       Tg DsRed(50匹)、Tg CENP-I-GFP,CENP-0-GFP,CENP-50-GFP(30匹)
    ・(ⅱ)申請マウス:ICR(100匹)、C57BL/6(50匹)、BALB/c-nu/nu(50匹)
       Tg Oct-GFP(50匹)
    ・(ⅲ)申請マウス:開示されていない
    ・(ⅳ)申請マウス:ICR(10匹)、C57BL/6(10匹)、BALB/c-nu/nu(5匹)、
       Tg Oct-GFP(50匹)

    一方、ArticleとLetterに書かれているマウスは以下である。
    ・論文マウス:B6GFP(cag-gfp)、129/Sv、DBA/2、ICR、 NOD/SCID、C57BL/6
       Tg Oct-GFP

    そして、「あの日」には当初からOct4-GFPマウス(GOFマウス)を使用していたことが書かれている。

    女子医大やハーバード大では実験に使用するマウスは必要な数を業者から購入していたが、若山研ではメスとオスを交配させて繁殖させ、実験に必要なマウスの系統を維持していた。Oct4-GFPマウスも若山研で繁殖させていて、若山先生がテクニカル・スタッフの人に「小保方さんが実験に使えるようにOct4-GFPマウスの数を増やすように」と指示を出してくれた。そのおかげで十分な数のOct-GFPマウスを実験に使用できるようになり、Oct4-GFPマウスの組織から細胞を採取しスフェアを作製する実験を繰り返し行っていた。こうして実験をさせていただいているうちに、若山研にも徐々に慣れていった。

    (ⅰ)の申請マウスで「Tg DsRed」は造礁サンゴ由来の赤色蛍光タンパク質が組み込まれたマウス、「Tg CENP-」で始まるものはセントメロア(染色体の中央のくびれた部分)にGFPが組み込まれたマウスと思われる。このため、(ⅰ)でSTAP実験が行われていたなら、残った「Tg GFP(50匹)」がOct4-GFPマウスだったことになる。

    しかし、それでも申請マウスと論文マウスで対応のつかないマウスがある。

    (ⅱ)、(ⅳ)のBALB/c-nu/nuマウスは免疫機能のないヌードマウスで、テラトーマの実験用マウスであろう。一方、論文に書かれたNOD/SCIDは同じく免疫不全マウスであるが系統の違うマウスである。木星通信氏が開示した若山研のマウス購入記録にはBALB/c-nu/nuはあるがNOD/SCIDはないので、これはBALB/c-nu/nuの間違いだと思われる。

    問題は、論文にB6GFP(cag-gfp)と書かれている若山B6マウスである。このマウスはいずれの「申請書」にも記載のない未承認マウスである。さらに、桂調査委員会の調査により若山129マウス(CAG-GFP)も使われていたことが明らかになっているが、このマウスも申請されていない。

    若山研ではGOFマウス(Oct4-GFP)、岡部B6マウス(Acr/CAG-GFP)、若山B6マウス(CAG-GFP)、若山129マウス(CAG-GFP)などを飼育している。(ⅰ)で初期実験を行っていたというのは真っ赤な嘘で、購入手続きのいらない若山研の繁殖マウスを申請せずに使っていたと思われる。最初はGOFマウスであり、また、キメラが出来やすいという理由で129B6F1に変えたときは若山129マウスと若山B6マウスである。

    若山研で、理研の設置する「審査委員会」を無視した杜撰なマウスの取り扱いがあったのは明らかで、もし、このような不正行為を「PEACE」が正確に把握していたら、理研の情報公開窓口に言いくるめられることはなかったろう。そのときは、「世界の若山」であるがゆえに、大きなスキャンダルになっていたはずだ。

    「PEACE」はSTAP細胞に関する情報開示請求手続きを開始したのは2014年2月18日だと書いてある。理研は小保方氏の着任当時の実験についても若山氏に確認しているはずで、この動物保護団体の追及に若山氏は大いに困惑したに違いない。若山氏がなりふり構わず論文を撤回させようとしたのは、「申請書」とB6GFP(cag-gfp)の不都合な関係が明らかになるのを恐れたからだろう。

    2017.04.02 Sun l STAP細胞事件 l コメント (13) トラックバック (0) l top