2015年9月24日、理研CDBがSTAP細胞の調査結果をネイチャーのブリーフ・コミュニケーションに投稿したものがある。題名は「STAP cells are derived from ES cells」(STAP細胞はES細胞由来)である。しかし、面白いことに、「STAP細胞はES細胞由来ではない」というデータがExtended Data Fig. 2Cに掲載されている。それは下の6番染色体のSNP分布図である。
ある生物種集団のゲノム塩基配列中にはSNP(一塩基多型)と呼ばれる、およそ1000塩基に1個の割合で多様性が見られる塩基が存在する。SNPはその位置が特定されており、その塩基の型を調べることで、個体の持つ固有の特質を知ることができる。このSNP分布図は129型とB6型を識別するSNPのゲノムパターンを基にSNPを色分けしモザイク化したものである。

ここで、①はSTAP幹細胞、②はES細胞、③はSTAP細胞で⑤と⑥は若山研で飼育されていたマウスである。④は別の系統のマウスから作られたSTAP幹細胞である。①、②、③は⑤と⑥のマウスの掛け合わせ(129B6F1マウス)で作られている。このため、①、②、③は⑤の青(129ホモ)と⑥のピンク(B6ホモ)の掛け合わせとなり、SNP分布図は全体的に緑(B6/129)となる。ここで⑤のAの部分が青でなく緑なのは、そのマウスの遺伝的背景が不均一で、その個所にB6が混ざっているからである。これに⑥のピンク(B6ホモ)が掛け合わさり、①、②、③のその部分はピンク(B6ホモ)になったということである。
129B6F1マウスから作られたES細胞は6株あり、129B6F1 ES1~6である。調査委員会は、この図にはないが、③のSTAP細胞は129B6F1 ES1由来であり、それから①STAP幹細胞、AC129-1が作られたとしている。①AC129-1と③のSTAP細胞はピンクのパターンが同じであり、STAP細胞はES細胞由来と言えそうであるが、実はそう単純ではない。
この図の赤枠部分を拡大して、コントラストを変えたのが下の図である。

青い点線で囲んだところをみると、①、②、③は明らかにパターンが違っている。その他に、上の図をよく見ると所々、ピンクの部分が違っているのが分かる。
STAP細胞はES細胞由来というのは、同じES細胞、もしくはそれを培養した細胞株ということである。SNPはマウスで約300万個あると言われている。その中のSNPが細胞株の培養によってどのくらい変異するかというと、調査委員会の調査したSTAP幹細胞FLS3とES細胞129/GFP ES(FLS3を培養したもの)では、近縁率(一致率)が99.95%であった(詳細はここをクリック)。つまり、培養により変異したSNPは、SNP1万個に対して5個である。
マウスの染色体は性染色体の他、1番~19番まである。このため、ざっくり言うと6番染色体のSNP分布図は約15万個のSNPを色分けしたモザイク画ということになる。ここで培養変異で型が変わるのは、そのうちわずか75個である。しかも、この変異はランダムに起こると考えられる。このため、同一細胞由来であれば、培養による変異はSNP分布図には表れず、その違いが分からないことになる。違いがあれば細胞株が違うということである。②は129B6F1 ES1と同時期につくられたES細胞であるが、受精卵ES細胞なので、①と③とは別の細胞株であり、そのため①、③とは別パターンとなっているのである。
①のSTAP幹細胞、AC129-1が樹立されたのは2012年8月13日である。③は2012年夏にSTAP細胞をGRAS(CDB ゲノム資源解析ユニット)に持ち込んだときのDNAを解析したものである。この③が①と違うということは、小保方氏がSTAP細胞としてGRASに持ち込んだ細胞株は、混入したとされるES細胞、129B6F1 ES1ではなかったことになる。それは、CAG-GFPを持つ129マウスとCAG-GFPを持つB6マウスの別の仔マウスから作られた別の細胞株であり、それはSTAP細胞だったと考えられるのである。そして、このSTAP細胞はES細胞のように培養できないので、解析で使われただけで、そこからSTAP幹細胞は作られていなかったということである。
少なくとも、このExtended Data Fig. 2Cから言えるのは、STAP細胞はES細胞由来とは言えないということである。
STAP ChIP LysateはSTAP細胞唯一の生データである。理研CDBはSTAP細胞がES細胞由来であることを、この生データとES細胞129B6F1 ES1およびSTAP幹細胞AC129-1のゲノムを解析することで証明できると思ったはずである。ところが実際に解析するとSTAP幹細胞AC129-1とES細胞129B6F1 ES1は一致したが、STAP ChIP Lysateは予想に反して一致しなかったのである。ここで、129B6F1 ES1がAC129-1と同じになるのは、129B6F1 ES1がAC129-1を培養して逆に作られているからである。
このため、三者を並べて載せるとSTAP細胞だけパターンが違うことになり、載せるわけにはいかなくなった。そこでピンクの長さが短いES6を載せ、STAP幹細胞とSTAP細胞が、さも一致しているように見せかけたということになる。
おそらく、理研CDBの解析担当者は「STAP細胞がES細胞由来でない」ことに気付いたはずである。それを、調査が紛糾して特定研究開発法人の指定が棚上げされることを恐れた理研幹部が早期決着を図るため、強引にES細胞の混入で押し切り、調査委員会がそれを追認したというのが真相ではないだろうか。
ある生物種集団のゲノム塩基配列中にはSNP(一塩基多型)と呼ばれる、およそ1000塩基に1個の割合で多様性が見られる塩基が存在する。SNPはその位置が特定されており、その塩基の型を調べることで、個体の持つ固有の特質を知ることができる。このSNP分布図は129型とB6型を識別するSNPのゲノムパターンを基にSNPを色分けしモザイク化したものである。

ここで、①はSTAP幹細胞、②はES細胞、③はSTAP細胞で⑤と⑥は若山研で飼育されていたマウスである。④は別の系統のマウスから作られたSTAP幹細胞である。①、②、③は⑤と⑥のマウスの掛け合わせ(129B6F1マウス)で作られている。このため、①、②、③は⑤の青(129ホモ)と⑥のピンク(B6ホモ)の掛け合わせとなり、SNP分布図は全体的に緑(B6/129)となる。ここで⑤のAの部分が青でなく緑なのは、そのマウスの遺伝的背景が不均一で、その個所にB6が混ざっているからである。これに⑥のピンク(B6ホモ)が掛け合わさり、①、②、③のその部分はピンク(B6ホモ)になったということである。
129B6F1マウスから作られたES細胞は6株あり、129B6F1 ES1~6である。調査委員会は、この図にはないが、③のSTAP細胞は129B6F1 ES1由来であり、それから①STAP幹細胞、AC129-1が作られたとしている。①AC129-1と③のSTAP細胞はピンクのパターンが同じであり、STAP細胞はES細胞由来と言えそうであるが、実はそう単純ではない。
この図の赤枠部分を拡大して、コントラストを変えたのが下の図である。

青い点線で囲んだところをみると、①、②、③は明らかにパターンが違っている。その他に、上の図をよく見ると所々、ピンクの部分が違っているのが分かる。
STAP細胞はES細胞由来というのは、同じES細胞、もしくはそれを培養した細胞株ということである。SNPはマウスで約300万個あると言われている。その中のSNPが細胞株の培養によってどのくらい変異するかというと、調査委員会の調査したSTAP幹細胞FLS3とES細胞129/GFP ES(FLS3を培養したもの)では、近縁率(一致率)が99.95%であった(詳細はここをクリック)。つまり、培養により変異したSNPは、SNP1万個に対して5個である。
マウスの染色体は性染色体の他、1番~19番まである。このため、ざっくり言うと6番染色体のSNP分布図は約15万個のSNPを色分けしたモザイク画ということになる。ここで培養変異で型が変わるのは、そのうちわずか75個である。しかも、この変異はランダムに起こると考えられる。このため、同一細胞由来であれば、培養による変異はSNP分布図には表れず、その違いが分からないことになる。違いがあれば細胞株が違うということである。②は129B6F1 ES1と同時期につくられたES細胞であるが、受精卵ES細胞なので、①と③とは別の細胞株であり、そのため①、③とは別パターンとなっているのである。
①のSTAP幹細胞、AC129-1が樹立されたのは2012年8月13日である。③は2012年夏にSTAP細胞をGRAS(CDB ゲノム資源解析ユニット)に持ち込んだときのDNAを解析したものである。この③が①と違うということは、小保方氏がSTAP細胞としてGRASに持ち込んだ細胞株は、混入したとされるES細胞、129B6F1 ES1ではなかったことになる。それは、CAG-GFPを持つ129マウスとCAG-GFPを持つB6マウスの別の仔マウスから作られた別の細胞株であり、それはSTAP細胞だったと考えられるのである。そして、このSTAP細胞はES細胞のように培養できないので、解析で使われただけで、そこからSTAP幹細胞は作られていなかったということである。
少なくとも、このExtended Data Fig. 2Cから言えるのは、STAP細胞はES細胞由来とは言えないということである。
STAP ChIP LysateはSTAP細胞唯一の生データである。理研CDBはSTAP細胞がES細胞由来であることを、この生データとES細胞129B6F1 ES1およびSTAP幹細胞AC129-1のゲノムを解析することで証明できると思ったはずである。ところが実際に解析するとSTAP幹細胞AC129-1とES細胞129B6F1 ES1は一致したが、STAP ChIP Lysateは予想に反して一致しなかったのである。ここで、129B6F1 ES1がAC129-1と同じになるのは、129B6F1 ES1がAC129-1を培養して逆に作られているからである。
このため、三者を並べて載せるとSTAP細胞だけパターンが違うことになり、載せるわけにはいかなくなった。そこでピンクの長さが短いES6を載せ、STAP幹細胞とSTAP細胞が、さも一致しているように見せかけたということになる。
おそらく、理研CDBの解析担当者は「STAP細胞がES細胞由来でない」ことに気付いたはずである。それを、調査が紛糾して特定研究開発法人の指定が棚上げされることを恐れた理研幹部が早期決着を図るため、強引にES細胞の混入で押し切り、調査委員会がそれを追認したというのが真相ではないだろうか。
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