阿塁未央児氏のもうひとつの興味深いツイッターの内容を紹介しよう。STAP細胞における遺伝子「Eepd1」の発現についてである。

    Eepd1.png

    ES細胞の発現量はわずかだが、STAP細胞でははっきりとした発現が見て取れる。興味深いのはこのEepd1遺伝子の機能である。

    MGI(Mouse Genome Informatics)という、マウスの遺伝子等に関する様々な情報を提供してくれるサイトがあり、このサイトの検索欄にEepd1と打ち込んで遺伝子情報を調べたのが次の図である。

    GMI.png

    Biological Process(生物学的プロセス)でresponce to stimulus(刺激に対する応答)の欄にチェックが入っている。「stimulus」、STAP細胞の「S」である。まさに刺激を受けた細胞がその生物学的プロセスとして反応するとき発現する遺伝子なのである。


    スポンサーサイト
    2017.11.14 Tue l STAP細胞事件 l コメント (0) トラックバック (0) l top
    阿塁未央児‏氏の10月26日のツイッターは次のようなものであった。

    出ました!。完膚なきまでに、STAP特異的な発現!。STAP-SCもFI-SCもない。ESCもEpiSCもなし!。オマケのDUX+ESCもなし!。

    公共データベースの登録データから「Bmper」遺伝子がSTAP細胞しか発現していないのを見つけたとつぶやいていたのだ。そこで、このSTAP細胞とES細胞のRNA-seqデータをダウンロードしてIGVにかけてみた。

    Bmper1.png

    ①と③のデータはTs.Maker氏、②と④は阿塁未央児‏氏がIGVで扱えるよう加工してアップロードしていたものである。①と②はES細胞のRNA-seqデータで、③と④がSTAP細胞のRNA-seqデータである。

    STAP細胞のBmper遺伝子のリード数は472と417あり、かなりな発現量である。対してES細胞は全く発現していない。また、Pou5f1(Oct3/4)はどうかというとES細胞に比べかなり量は低いがはっきりと発現しているのが分かる。

    Pou5f1.png

    この2つのことから、公共データベースに登録された試料はES細胞を混入させて作ったものでないことは明らかで、STAP細胞そのものだったということになる。



    2017.11.14 Tue l STAP細胞事件 l コメント (0) トラックバック (0) l top
    その後の阿塁未央児(@aruimiouji ‏)氏のツイッターは、STAP論文作成に使用された、「公共データベース登録されたFI-SCのデータには、もしかして欠失はなかったかも?」とトーンダウンしているが、私はポップアップメニューの内容から、やはり、

    「Chip-seq(input)のFI幹細胞に欠失はない」

    でいいんじゃないかと思っている。

    IGVのカバレッジの灰色の部分にカーソルを当てると、ポップアップメニューが現れ、その塩基の地番と種類、およびトータルカウント数が表示される。そのカウント数は+と-に区分され、それらを合わせるとトータルカウント数に一致するようになっている。

    この「+」と「-」は何を意味しているかというと、おそらく+鎖と-鎖を意味しているだろうと思う。DNAは二重らせん構造でATGCからなる塩基の二つの鎖がたがいに相補鎖となっているが、該当の塩基がどちらの鎖から読まれたかを表していると思うのだ。

    つまり「1+、1-」であれば、それぞれ+鎖と-鎖から1本ずつ読み込まれていると思われる。

    Acr/CAG-GFP 129B6F1のFES1の8番染色体は129系の欠失があるとされているから、もし欠失があれば、欠失箇所の塩基はすべて+鎖か-鎖のいずれかで表示され、両方では検出されないことになる。

    IGVで調べると欠失があるとされる範囲の塩基はどちらか一方しか検出されないものもあるが、その欠失範囲において一様に+鎖と-鎖がカウントされており、トータルカウント2以上で+鎖と-鎖、どちらもカウントされているものがある。従って、欠失とされる範囲に欠失はないということになる。

    FLS3を同じように調べるとはっきりするが、手元にないので、とりあえず思いついたことを書いてみた。

    やはり欠失はない
    2017.11.08 Wed l STAP細胞事件 l コメント (0) トラックバック (0) l top
    公共データベースの解析により、新しい事実が明らかになってきている。公共データベースを専門家でなくても手軽に見えるようにしてくれたのはTs.Marker氏だが、阿塁未央児(@aruimiouji ‏)氏も独自に公共データベースを調べ、注目すべき解析結果をツイッターで発信してくれている。今回はその中の一つを紹介したい。それは、

    公共データベースに登録されたAcr/CAG-GFP 129B6F1のFI幹細胞には3番、8番の欠失がない

    という驚くべき事実である。

    Acr/CAG-GFPの129B6F1といえばES細胞FES1である。このFES1には3番と8番染色体に欠失があり、調査委員会がFES1、129GFP ES、FLS3、CTSを同じ細胞株とした理由はそれらが同じ欠失を持っていたからである。しかし、同じAcr/CAG-GFP 129B6F1でも3番、8番に欠失がないFI幹細胞が公共データベースに登録されていたのである。

    桂調査報告書に8番染色体の欠失は次のように書かれている。

    FI幹細胞の欠失

    また、公共データベースに登録されたChip-seqのFI幹細胞は調査委員会で以下のようにAcr/CAG-GFP 129B6F1だとされていた。

    桂調査報告書スライド

    阿塁未央児(@aruimiouji ‏)氏はこのFI幹細胞には欠失がないというのである。そこで、このChip-seq(input)のFI幹細胞をTs.Marker氏がアップしたファイルからダウンロードしてIGV(Integrative Genomics Viewer)にかけてみた。

    欠失のないFI幹細胞

    塩基配列が分かるよう、欠失があるとされた23,265,639番の直前23,265,629番から23,265,700番までを表示させている。下段のSequenceと書かれたところに塩基配列のレファレンスが表示されており、調査報告書で示された欠失直前の塩基配列と同じ塩基配列が表示されているのが分かる。

    SRR1171569.bam Coverage(FI幹細胞)と書かれたところに灰色のブロックがあるが、これが検出された塩基を表し、小さいブロック1個が1塩基で、灰色なのはリファレンスの塩基の種類と同じものが検出されていることを表している。

    つまり、このIGVは23,265,629番以降で塩基CAACCATCCATが検出され、その後リファレンス通りのATCCCCTCTTCAが検出されていることを示している(ブロックが大きくなっているのは、同じ塩基が2個カウントされたということである)。

    従って、このFI幹細胞には調査委員会がいう8番染色体の欠失がなく、ES細胞FES1由来ではないFI幹細胞となる。では、桂調査報告書でこのFI幹細胞についてはどう書かれているかというと次のとおりである。

    論文や公共データベース登録内容に基づくと、これらの解析に用いている細胞株はCD45+細胞、TS 細胞を除いて 129xB6 ヘテロ系統マウス由来であり、挿入されている GFPのタイプは CAG もしくは Oct4 である。しかし、ChIP-seq input データの解析から、FI幹細胞は Acr-GFP/CAG-GFP が挿入された 129xB6 へテロ系統、CD45+細胞は Oct4-GFP が挿入された B6 ホモ系統、STAP 細胞, STAP 幹細胞は CAG-GFP が挿入された 129xB6 へテロ系統由来であることが強く示唆された。

    欠失のことについては何も触れられていない。理由は簡単で、それを明らかにするとFES1以外の別のES細胞を探さなければいけないからである。おそらく、それは見つからなかったのであろう。仮に混入させた人間がいたとしても129/GFP ESがあるのにわざわざ別のES細胞を使う理由はないのである。

    いずれにしても、STAP細胞がES細胞の混入によって作られたという根拠はこのFI幹細胞の存在により消失していると思うのである。



    2017.11.08 Wed l STAP細胞事件 l コメント (0) トラックバック (0) l top
    小保方氏が公共データベースに登録していたFI幹細胞のデータをTs.Marker氏がネットにアップロードしてくれたので、それをダウンロードしてIntegrative Genomics Viewer (IGV)で遺伝子発現パターンを確認することができた。

    遺伝子の発現について、「多能性幹細胞を維持する転写ネットワーク」には次のように書かれている。

    Cdx2 は初期胚において栄養外胚葉(胎盤を形成する)に発現しており,ICM や ES 細胞では Oct3/4によってその発現が抑制されている.Oct3/4は Cdx2を物理的相互作用を介して機能抑制できることがわかっており,逆に Cdx2は Oct3/4の機能抑制を通じて ES 細胞を栄養外胚葉へと分化誘導できる。

    つまり、Oct3/4とCdx2は排他的で、Oct3/4がCdx2の発現を抑えES細胞となり、Cdx2がOct3/4を抑制すればTS細胞になるである。

    ところが、このFI幹細胞にはOct3/4とCdx2が共に発現しており、ES細胞でもTS細胞でもない、今まで知られていない新しい幹細胞の遺伝子発現パターンがみてとれる。この幹細胞を小保方氏らはFI幹細胞と呼んでいたのである。

    FI-SC_chip-seq_Pou5f1.png
    (Pou5f1というのはOct3/4のことである)

    FI-SC_chip-seq_Cdx2.png

    桂調査委員会は「STAP細胞はES細胞由来」としたが、専門用語を取っ払えば、小保方氏の台所に血の付いた包丁があり、この血液のDNAを調べると被害者のものと一致したので、この包丁が凶器といっているのである。

    誰がみてもそれはおかしいと思うだろう。凶器と傷口の形状一致を調べていない。これはSTAP幹細胞がES細胞の遺伝子発現パターンと一致するかどうかを調べることにあたるが、これを示していないのである。おそらく、調べたが、結論が変わってしまうので公に出来なかったというのが本当のところであろう。

    今回、FI幹細胞の遺伝子発現パターンが既存のES細胞やTS細胞とは違うことが明らかになったが、STAP幹細胞の遺伝子発現パターンもES細胞とは違うはずである。この違いを明らかにしておいて129/GFP ESの遺伝子発現パターンを調べれば、それがES細胞なのかSTAP幹細胞なのかが分かるだろう。

    調べれば129/GFP ESからSTAP幹細胞の遺伝子発現パターンが出てくるはずだ。そのとき初めて「STAP細胞事件」で本当の凶器が認識されることになるだろう。

    2017.08.06 Sun l STAP細胞事件 l コメント (1) トラックバック (0) l top