しばらく、「高知白バイ事件」について書いてきたが、書くべき物は書いたのでここでまとめて終わりにしたい。

    1.衝突地点について
      検察が主張する、バスが白バイを撥ねたとする地点④で衝突した根拠は何もない。検察が根拠にしていたタイヤ痕は白バイの前輪ではなく、後輪のタイヤ痕であり、そのため衝突地点の根拠はなくなっている。→参照
     また、同時に弁護側は最終停止位置⑤を衝突地点としていたが、そこも衝突地点ではなく、白バイはその手前で既に転倒している。→参照
     つまり、衝突地点についてはどちらの主張も間違っており、実際には右折車線上の舗装の境界線あたりで、検察と弁護側が主張する衝突地点の中間に位置すると思われる。→参照

    2.衝突時バスは止まっていたか
     多くの証言から衝突時、バスは止まっていたと考えられる。しかし、横滑り痕があることから、白バイの衝突と同時にバスは発進したと思われる。これについては「もう、そろそろ行けるかなと思ったとき、白バイがぶつかった」という生徒の証言がある。左からの車が途切れ、右折可能になったのでアクセルを踏み込みバスが動き出した瞬間、白バイが衝突したと思われる。

    3.スリップ痕、擦過痕の捏造について
     以下の写真はバスに乗っていた生徒が降りようとしている事故直後の写真である。現場検証が始まったのは14時55分からで、この写真にはまだ、バスの横の三角コーンが写っていない。おそらく14時48分過ぎだと思われる。このとき既にバスのスリップ痕や擦過痕が写っている。

    事故直後

     擦過痕を調べると白バイの損傷部分と一致するので、擦過痕は本物であると分かる。→参照
    これから擦過痕と一緒に写っているスリップ痕も本物であると考えられる。また、第4の事故形態を前提にスリップ痕がどうなるかを調べた結果、実際のスリップ痕とほぼ一致する。→参照
     しかし、もともとあるスリップ痕にオタマジャクシ痕やブレーキ痕が書き加えられている。これは、バスが急ブレーキを掛けたという証拠が必要だったからである。→参照

    4.実況見分調書について
     実況見分調書については改ざんされている。これは、白バイのスピードが出ていないようにカモフラージュするためである。→参照

    5.写真の合成について
     警察が書き加えたオタマジャクシ痕やブレーキ痕については合成されている可能性があるが、それ以外のものについては合成されていない。→参照


     以上の通り、警察がバスに過失がある事故に見せるため、証拠を改ざんしているのは確かだが、無かったスリップ痕等を捏造して作ったというものではない。スリップ痕や擦過痕自体が捏造されたという弁護側の主張は間違っていたということである。おそらく、オタマジャクシ痕を見て、全ての証拠が捏造されたと思い込んでしまったのだろう。このため、間違った主張を展開することになり、事件はより複雑なものになり、混乱してしまったと言える。

     さて、再審請求の棄却にともない高松高裁へ上告が行われているが、弁護側は今までと同じような主張を展開していくのだろうか。長年の主張を転換することになるが、間違ったことを正して、戦略を一から練り直す以外に道は開けないだろうと思う。
     
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    2015.01.16 Fri l 高知白バイ事件 l コメント (0) トラックバック (0) l top
     「高知白バイ事件」の事故形態を各証人の証言から見てみよう。一審の高知地裁で、事故形態に関連して証言した証人は検察側証人一人と弁護側証人三人である。また、再審請求の中で、事故形態についての詳細な生徒の供述調書があることが明らかになっている。

    【検察側証人】
    ①白バイ隊員
    ・衝突地点の120mほど手前(高知市より)を土佐市方面に向けて走行中スクールバスを確認、同時に衝突地点より55m土佐市よりの地点に白バイを確認。スクールバスは時速10km、白バイ約60kmと目測。
    ・バスはずっと動いており、白バイもそのまま、まっすぐ進行していた。お互いがそのまま進行すれば衝突すると思った。
    ・バス、白バイはそのまま進行し、白バイはやや右へ倒しながらバスを避けようとしたが、結局衝突。

     以上の証言はあるが、この隊員は事故そのものを見ていないと思われる。目撃していれば、真っ直ぐに事故現場に駆け付けたはずである。ところが、この隊員は事故現場を素通りしている。実際に白バイを止めたのは、通り過ぎた信号機付近で、そこから降りて駆けつけている。この白バイ隊員の行動を見ていた生徒は次のように話しているという。
    ・白バイを見たときは、隊員は顔をバスの方に向けて第一車線を普通に走っていた。
    ・何があったんだろうって感じて、こちらをずっと見ながら普通に走っていた。
    ・バスの右側面が見える位置に来た時、白バイの事故であることが分かった感じで、慌てたようだった。

    【弁護側証人】
    ①事故を起こした白バイに追い越された証人
    ・白バイは、点滅信号のある交差点の旧道内で停車していたが、すぐに私の車の前に進入、白バイは第2車線を走行し始めた。私の速度は50~55kmだった。
    ・隊員は腰を上げてシートに座り直すと、加速を始めた。
    ・事故現場の手前のカーブまでは白バイは第2車線を走行していた。
    ・その時の白バイの速度は、自分の車の速度と比較し、時速100kmくらいは出ていた。その後、カーブを過ぎたときにスクールバスを確認し、事故を知った。

    ②自歩道の前でバスの後ろにいた校長
    ・バスは自歩道の手前で一旦停止し、また、車道の前でも一度停止した。その後バスは時速10kmくらいで走行し、中央分離帯付近で停止した。
    ・衝突の瞬間を見た。バスは少し右向きになっていたのでよく見えた。
    ・バスが止まっているところへ何か物体が右カーブを切りながらぶつかったという感じ。衝突を避けるようにハンドルを切ったという感じ。そのときの白バイのスピードは時速50~60キロ位。

     右カーブを切りながらぶつかったというのは後述の生徒の証言、「まっすぐにバスに向かっていた」と異なる。校長は衝突を真横からみているので、右に傾いた白バイが直進するのを、右カーブしていると錯覚したと思われる。

    ③バスの左側の前から2番目の窓際に乗車していた教員
    ・バスが中央分離帯付近で停止したが、安全確認をするためだと思う。
    ・中央分離帯付近に行くまでの間に急ブレーキが掛かった記憶はない。

     第4回公判でこの証人は「バスは止まっていた」と証言しているようだが、検察にブレーキ痕を見せられ困惑し、裁判長が証言としては「急ブレーキは掛けていない」ということでまとめたようである。

    【再審請求で明らかになった供述調書】
    ①バスの右後方に座って事故の一部始終を見ていた生徒
    ・駐車場から出たバスは一度、車道に入る前で停車。歩くより少し早いくらいの速度で国道の真ん中より数メートル手前まで進んでいった。
    ・中央側の車線に、トラックのような普通乗用車より大きな車が一台止まっていた。そして、その後方から白バイが近づいてきているのが見えた。
    ・白バイは車線上に止まっていたトラックのような大きな車の東側、中央分離帯側へと移動、そのままバスへと近づいてきた。白バイの姿を見つけた時には、バスは国道上に止まっていたが、またバスは徐々に前へと進み始めた。
    ・そしてバスが進み始めた直後、白バイが右折する車線を真っすぐバスの方へと向かってきた。そして白バイがバスと数メートルの距離まで近づいてきた時、白バイは東側にバイクを傾けた。その後、ガンという大きな音が聞こえ、バスが少し揺れた。この時バスはもう止まっていた。

     この証言によれば、バスは中央分離帯付近で2度停止したことになり、校長の証言とは矛盾するが、生徒はこの内容については、そういう証言はしていないと否定しているようである。白バイがなぜ、右折車線を走りかつ、スピードを落とさなかったかについては、右折車線を使ってトラックをすり抜けようとした以外には思い付かない。ここで、生徒の証言もとにした赤く示しているルートが第4の事故形態のルートである

    証言からみた事故形態

    2015.01.16 Fri l 高知白バイ事件 l コメント (0) トラックバック (0) l top
     再審請求で行われた嘱託鑑定で、タイヤ痕を横滑り痕とした大慈彌氏は「白バイが衝突した際の姿勢はほぼ直立した姿勢で、ほぼ直角に近い角度で衝突した」と鑑定している。この根拠は不明であるが、バスを真横から撮った写真をみる限り、バスの側面には右斜めの衝突線が認められ、白バイが直立して衝突したのではないことは明らかである。

     衝突線

     バスの側面は斜め35°に折り曲げられ、その折り込みに沿ってタイヤ痕と思われる黒いゴムがへばりついている。白バイは35°に傾きながらバスに衝突したはずである。科捜研でも白バイは35°~40°で傾きながらバスとほぼ直角に衝突したと報告されていた。折り曲げられた上にはボディの鉄板が急激に引っ張られたことで断裂したと思われる裂け目が横に2本走っている。白バイは相当なスピードだったことが窺える。また、写真にはもう一本の65°の傾きも認められ、この角度で衝突が終わったものと思われる。

    衝突開始終了

     
     この白バイが傾いて衝突した理由であるが、白バイを転倒させることで衝撃を和らげようとした、隊員の咄嗟の判断ではなかったかと思う。恐らく、バスに気付くのに遅れたのと、スピードを出し過ぎ、旋回して回避することが出来なかったのではないだろうか。そうだとすると、白バイは倒れながら、バスに激突したことになる。

     直立したまま衝突すると、バスに当たって大破した白バイの左側の部品はそのまま下に落ちる。現場では白バイの左に落ちている部品はほとんどなく、左の部品も右に落ちている。このことから、白バイを乗り越えて右に落ちる程、白バイは傾きながら衝突したことになる。

     弁護側はバスの前方だけに細かな破片が落ちていることを、最終停車位置での衝突の根拠の一つに上げていた。しかし、この細かな破片については、衝突で生じた破片ではないだろうと思う。白バイは衝突後、引きずられていて、脱落した部品が白バイの周りに掃き集められている。これらの部品が互いに絡まって動けなくなり、さらにバスに押されることで、その場で粉砕されたものと思う。従って、バスの後方には細かな破片がないのである。

    事故現場部品





    2015.01.16 Fri l 高知白バイ事件 l コメント (0) トラックバック (0) l top
     「高知白バイ事件」では警察が開示した写真の中に合成写真があると言われてきた。合成が疑われた写真として、大きく取り上げられたものに「足のない通行人」と「路線バス」がある。

    足のない通行人

     上の写真は「足のない通行人」の写真であるが、検察は衆人監視の中ではスリップ痕等は捏造出来ないと主張していた。一方の弁護側の言い分は通行人も大勢いた証拠として、この写真が合成されたというものであった。

     私は写真の合成には関心がなかった。警察がそのような些細な理由で写真を合成するとは思わなかったし、わざわざ怪しまれる写真を警察が開示するはずはないからである。

     この写真については、既に「『高知白バイ事件』は逆冤罪事件である」という主張を展開しているwaoasada氏が合成とは関係ないことを証明している。要するに、歩いている人間を横から写すと、一瞬、足が消えたように写るタイミングがあるということだ。

    足のない通行人2

     一方、「路線バス」は以下のような写真である。スクールバスの向こうに路線バスが写っている。この路線バスは14時45分と15時22分に運行されていた。実況見分が始まったのは14時55分からであり、このとき14時45分のバスは既に通過していることになる。バス会社も当日、10分以上の遅れはなかったと回答している。

     片岡氏が逮捕されたのは15時4分で、そのまま土佐署に連行されている。弁護側は現場検証が片岡氏のいない間に行われたことを問題視していた。この疑惑は、15時22分頃のバスの写真に片岡氏の写真を貼り付け、あたかも現場検証が行われたかのように合成されたというものである。この写真は嘱託によるネガ鑑定も行われているようだ。

    路線バスの写真

     この写真についても、合成だとは思っていなかったが、「足のない通行人」が解析されたので、この写真についても合成かどうかを調べてみよう。スクールバスの左には、すたみな太郎の看板の影がある。この影を使って写真が撮られた時刻が特定できるはずだ。

     まず、2006年3月3日の事故地点の太陽高度と方位を調べると次のようになっている。方位は北を0°として南が180°になるものである。

    時刻    高度(°)   方位(°)
    14:45      36.70     227.75
    15:00     34.33     231.28
    15:15      31.84     234.58
    15:30      29.25     237.68
    15:45     26.57     240.60
    16:00      23.82     243.37
    16:15      21.00     245.99
    16:30     18.13     248.50
    16:45      15.21     250.90
    17:00      12.25     253.21

     時刻が分かったすたみな太郎の看板の影から、影の方向と方位の関係を知れば、後は何時、どのような影が出来るのかが分かる。時刻と影の方向の特定に使った写真は以下の2つである。腕時計の時刻は少々、分かりにくいが16時54分で、30分過ぎに針が写っているのは秒針だと思われる。この写真が撮られた時刻を16時54分として、15時50分頃、撮影されたという新聞の写真で影の位置を検証しても何ら問題はなかった。ここから、現場の見取り図に、ある時刻での影の方向と長さを書くことが出来る。

    時計の時刻


     「路線バス」の写真に写った看板の影は、まだバスに到達していない。このことから、撮られたのは14時50分頃であることが分かる。写っている路線バスは14時45分のバスだったことになる。15時22分の路線バスなら、影はバスの屋根に到達してしまうのである。

     白バイの巡査長が救急車で搬送されたのが14時48分である。その後、生徒達はバスから降り、向かいのレストラン「グロリー」の2階に上がっている。その最後の生徒が降りるのと入れ違いに片岡氏がバスに乗り込んだという生徒の証言があるので、50分頃、バスに座った片岡氏が写っていてもおかしくないのである。

     従って、この写真は合成ではないという結論になる。もっとも、写真は全て本物であると言っているわけではない。スリップ痕の写真には何らかの手が加えられている可能性は否定できない。

    路線バス時刻


    2015.01.13 Tue l 高知白バイ事件 l コメント (1) トラックバック (0) l top
     「高知白バイ事件」のスリップ痕が騒がれたのは、オタマジャクシのスリップ痕があったからである。このスリップ痕はバスの最終停止位置のタイヤの下に出来ている。ブレーキ痕は停止時に、より濃く付くので、このオタマジャクシはブレーキ痕の証拠として作られたものである。

    オタマジャクシ

      しかし、実際は横滑り痕なので、タイヤの回転が止まり、横滑りも終わる停止位置にはスリップ痕はつかないはずである。このオタマジャクシ痕は完全に書き加えたものだろう。そのため、オタマジャクシ痕は少しずれている。最初は周りより濃かったのが、時間が経つと逆に周りより薄くなっているので、オタマジャクシ痕は別の何かで書かれていることは明らかである。

    停止位置のずれ

     一審の高知地裁ではこのオタマジャクシ痕を「バスの先端の濃いスリップ痕は事故車両から漏れた液体がついたもの」とし、ブレーキ痕とは認めていない。あまりにも濃過ぎて不自然だったからである。しかし、少なくとも事故直後の右タイヤの周りに漏れた液体はないし、左タイヤは液体の広がった範囲とは距離が離れ過ぎている。裁判長が、このような珍説を堂々と判決文に書いているのは驚くばかりである。このオタマジャクシ痕を捏造以外の根拠でうまく説明できるものは何もないだろうと思う。

     さて、このオタマジャクシ痕だが、裁判長が言うように、衝突時に流出した液体を使って書かれたのではないかと思っている。最初は濃く写っているオタマジャクシが、時間が経つにつれ薄くなっていく様子が、流れ出た液体の状態とよく似ていて、写真に撮られた色合いもよく似ている。

     もともとのスリップ痕は生徒22人と教師3人を載せたバスが横からぶつけられ出来た横滑り痕であった。このタイヤ痕からは「緊急走行でもない白バイが、右折車線に止まっているバスに激突し、50cm近く押し上げて大破した」という事故形態が明らかになる。警察にとっては致命的な事故だ。そこで、白バイの過失を0にするため、ブレーキ痕が必要だったのである。これが、オタマジャクシ痕と途中のブレーキ痕を警察が書き加えた理由である。

     警察にとって都合が良かったのは、バスが既に右折態勢になっていたため、50cmの振れ幅でも、やや右に傾いただけで止まり、見た目に衝撃の大きさが分からなかったことである。実況見分調書も改ざんして衝撃の大きさを隠してしまった。弁護側はオタマジャクシ痕に目を奪われ、スリップ痕は全てが捏造されたものと勘違いし、全く、検討をしなかったのだろう。このため、横滑り痕という重要な事実を見落としてしまった。これは裁判にとって致命的なミスであった。

    2015.01.12 Mon l 高知白バイ事件 l コメント (0) トラックバック (0) l top